歯科医師の徒然日記

業界の方へは新規指導対策、算定のこと。。。一般の方へは歯科医療の裏事情等をお伝えしていきたいと思います。

歯科 新規個別指導の目的とは?ー敵を知れー

そもそも新規個別指導の目的とは何なのでしょうか?

目的を理解すれば、指導対策もおのずと定まります。

 

新規個別指導とは新規開業の医療機関を対象に開業後概ね1年以内に実施される指導のことです。基本的には新規開業の歯科医院では避けて通れません。

※開設者が法人の場合は、管理者変更のみの扱いとなるので、新規個別指導は実施されません。

※法人化していない場合、例えば先代の院長(開設者)から後継の院長(新 開設者)へ引き継ぐ場合は、同一の診療所であっても新規個別指導が実施されます。

 

新規個別指導の流れについてはこちらをご覧ください。

ymdental.hatenablog.com

 

新規個別指導の目的は、これから開業する歯科医師に算定要件をしっかり学ばせて、不正請求を防止させることです。

 

少し屈折した見方をすると。。。

開業して15年以上経過し、そこそこ稼いでるベテラン歯科医院へ指導に入るには、地域の歯科医師会との大人の事情もあり、容易ではありません。

そこで、まだ力を持っていない、歯科医師会とのつながりも薄いであろうこれから開業する人間(弱者)を相手に、みっちりしごいてやろうというのが新規個別指導の目的のように感じております。

 

つまり、目的は不正請求の防止。そして、不正請求を防止することで医療費を削減することが真の目的です。

要するに、医療費削減のために、算定のルールを順守させることが目的であって、ルールを少しでも守っていなければ、すべて返金させるつもりです。

これが医療行為が妥当であっても、算定が妥当でなければ返還義務が生じる理由です。

↓↓こちらも参考にしてください。↓↓

ymdental.hatenablog.com

 

新規個別指導では、技術的なことはそれほど問題にされません。若いドクターは、技術に不安を持っている方も多いと思いますが、技術の上手い下手を指導されることは、ほとんどありません。

むしろ、腕に自信のある中堅のドクターは注意が必要です。

例えば、大学病院等で、専門的な診療を行ってきたドクターが、個人開業するケースでは、新規個別指導でのトラブルが多い印象です。

大学病院という特殊な環境で、特別に許可されていた算定を個人開業医が同じように算定した場合、問題が生じるケースが多々あります。

 

とはいっても、新規個別指導におびえる必要はありません。傾向と対策をしっかりつかめば、萎縮診療、萎縮算定にならずに、適正な医療行為を行えます。

歯科 新規個別指導の流れ

開業を検討中の先生、新規個別指導を控える先生。
まずは新規個別指導の一連の流れを把握しておきましょう。

1、指導の通知
郵送にて新規個別指導を実施する旨の通知が来ます。原則として診療所の開設後、1年以内に実施されます。指導の通知は基本的に指導日当日からカウントして1ヵ月前に通知されます。
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例えば、2018年6月に開設した診療所は翌年の2018年7月までに新規個別指導が実施されます。
※地域により多少前後する場合はあります。
この場合、指導通知は2018年6月までに郵送されることとなります。

ここで押さえておくポイントは
指導の通知から指導日当日までの準備期間は1ヵ月あるということです。

2、「医療機関の現況」を提出
医療機関の現況」なる書類が指導通知に同封されています。
ドクターを含めた、すべての従業員についての簡単な情報(常勤か非常勤か、いつから勤務しているか等)や、診療ユニットの数、レセコンの種類などを記入して返送またはFAXします。期日は指導通知後およそ2週間以内となっております。レントゲン装置の型番などの記入欄もあるので、事前に調べておきましょう。

3、指導準備
指導通知には、指導日当日に持参するもののリストがあります。
(※後日、詳細を記載する予定です。)
日計表や、アポ帳など、基本的には印刷物を持参する必要があります。PC上でアポ管理や日計表を管理している場合は、事前にすべて印刷する必要があります。

4、持参カルテの通知
新規個別指導では、10名ほどの患者が抽出され、指導日当日に対象患者のカルテを持参する必要があります。
指導通知には具体的な抽出患者についての情報はありません。各々の地方厚生局によって、対象患者の数、対象患者の通知方法に少し差があるようです。
私が所属する地域では、指導日前日の15:00にFAXにて対象患者10名が通知されます。

5、新規個別指導実施
地域により差はあるようですが、基本的には午前の部/午後の部の二部構成となっており、1日に2件の新規個別指導が実施されていると思われます。
指導実施時間はおよそ2時間です。途中に事務作業(書類の確認など)や指導官による結果の取りまとめ等があるので、実際に指導官に問い詰められるのは60分~90分ほどです。

6、指導結果通知
指導実施日から1か月ほどで結果通知が来ます。結果は「概ね妥当」「経過観察」「再指導」の3つのうちどれかです。
「概ね妥当」はよっぽどでない限り、もらえません。基本的には「経過観察」になります。目標は「再指導」にならないことです。

7、改善報告書および返還金書類の作成
「経過観察」「再指導」となった場合、不当とみなされた事項に関する算定は返金しなければなりません。返還義務が生じるのは対象患者分のみです。保険者ごとに細かく書類を作成する必要があり、けっこう面倒です。


以上がおおまかな新規個別指導の流れとなります。
細かい注意事項に関しては、別の記事にて紹介しようと思います。

恐れるべからず新規個別指導!

開業を控えている歯科医師の皆様。新規個別指導は避けて通れません。

しかし、恐れる必要はありません。

私の経験からいうと、よっぽど常識から逸脱した算定を行っていなければ、まず乗り越えられます。

多少、変な医療行為を行っていても、算定的に問題がなければ、咎められることはほぼありません。

 

・・・しかし、裏を返せば、適正な医療行為を行っていても、不正請求とみなされてしまうケースも存在するということです。

 

例えば、加圧充填を算定したが、実際には根充状態不良の場合。

これは医学的には良くないですし、算定的にも問題があります。

しかし、指導の場では、こういったケースはそれほど問題にされないです。特に、経験の浅いDrに対しては、「もっと技術を磨きましょう」程度の注意で済みます。

もちろん、全症例が不良根充であれば問題がありますが、腕に自信のある指導官でない限り、細かい技術的なことでケチをつけられることはあまりないと思います。

(※専門医等でかなりこだわりのある指導官の場合は注意が必要ですが・・・)

 

例えば、SRPを一度に10歯に対して行った場合。

SRPは1/6顎~1/4顎程度までしか一度に算定できないという暗黙のルールがあります。つまり、一度に算定できる歯牙数は最大で8本程度ということになります。

このルールを逸脱して、一度に10歯分のSRPを算定している場合は、不正請求とみなされてしまうことがあります。

実際に時間をかけて、10歯にSRPを実施していたとしても、不正請求扱いにされてしまうのです。なんだか理不尽ですが、この場合は返金の対象となってしまうことが多いです。

 

以上はほんの一例です。

新規個別指導対策の第一歩は、算定要件をしっかり学んでおくことです。根充の良しあし等の技術的側面は重視されず、算定のルールを把握しているかがポイントになってきます。

そして、敵を知ることが重要です。何を目的に指導を行うのかを理解することで、対策を練ることができます。

 まずは新規個別指導の流れを確認しましょう。

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歯科 新規個別指導対策!

はじめまして。日本の北の方にて歯科医師をやっております。

歯科医師たるや、一度は耳にする個別指導。。。とくに新規個別指導は新規開業後、1年以内に実施される避けては通れないものとなっております。

 

訳ありまして、ここ3年連続、新規指導に立ち会っております。

今後の自分への戒めも込めて、日記として、他の歯科医師の方への参考になればと、暇なときに(メモ程度)ではありますが、個別指導に関することを記述していきたいと思います。